「エムケーティエキスパートはどんな会社ですか？」
と尋ねられたとき、

いつも答えに困ります

確かに運送会社ですが……

「運送会社ですか？」と言われれば、確かにそうです。当社はご依頼のあった品物をトラックで運んでいます。でも、自分たちの中には「運送会社だ」という意識はあまりありません。なぜなら、私たちにとって「運ぶ」は、仕事の中の一部に過ぎないからです。

たとえば、ある医療機器メーカー様のお仕事。ご依頼に応じてメーカー様の倉庫から納入先のクリニックに運び、設置します。大変に重く、かつ精密なものなので、運ぶにしても設置するにしても医療機器ならではのノウハウが必要です。もちろん設置には、きちんと機能するかどうかの確認も行います。
医療機器の運び先はクリニックとは限りません。各地で行われる展示会への搬入も行います。展示会場はクリニックとは異なり専用の配管や配線が用意されているわけではありません。それでも何とか工夫して設置し、おいでになった来場者がクリニックで実際に使うときの状況を体感できるようにします。

ある家具販売会社様のお仕事も、ちょっと変わっています。当社社員がその会社に「配送担当者」として常駐しています。「担当者」のもとにある日の配送先と配送品のリストが届けられると、「担当者」は配送のルートを組み立てますが、これがただ順番に並べればいいというわけにはいきません。渋滞の起こりやすい場所や時間をできるだけ避ける。搬入や設置に時間がかかりやすいものは、それも考慮する。細い道が多いところではトラックがどこまで入っていけるのかを確認する……。時間内に配送が間に合わない恐れがあったら、追加でトラックを手配しなければなりません。トラックには前日のうちに配送品の積み込みを終わらせますが、積み込みの順番にも工夫が必要です。先にお届けするものを手前に、あとのものは奥に積み込みますが、段ボール箱に入った一般の商品とは違い、家具は簡単に重ねることができません。安全運転は心がけますが、振動によって家具同士がこすれ合うようなことがあっては大変です。大きさも形も様々。「まるでパズルのよう」という表現ではたりないほどの複雑さです。

いかがでしょうか。「運ぶ」は当社の仕事の中の、限られた一部分であるということの意味を、ご理解いただけたでしょうか。

「断りません」などと偉そうに言っていますが……

当社が現在のような仕事の仕方ができるようになったのは、お客様のおかげにほかなりません。当社はできるだけ「断る」ということをしたくないと考えています。「できません」とお断りすることは簡単です。でも、それではお客様の「困った」はそのままです。「なぜできないのか」「どうしたらできるようになるのか」を、一生懸命に考える会社でありたいと思っています。ただ、「できないこと」が、簡単にできるようになるわけではありません。自分たちなりに勉強したり、工夫したりもしますが、限界もあります。そんな時に手を差し伸べてくださったのはお客様です。資料を提供してくださったり、商品について教えてくださったり、さまざまなアドバイスをくださったり……。中には、社員向けの研修を受けさせてくださったり、当社のためにセキュリティ・ システムを一部変更してくださったりしたお客様もありました。まさに私たちは、「お客様に育てていただいた」と思っております。

先ほど、「お客様の『困った』を断りたくない」などと偉そうなことを申し上げましたが、私たちがお客様の「困った」を解決することができたのも、月並みな言葉になってしまいますが「お客様からのご指導ご鞭撻」があってこそ。本当に感謝に堪えません。そんなすばらしいお客様と長年お付き合いさせていただいていることが、当社にとっての「自慢」でもあります。

調子に乗ってもう一つ、自慢したいことが……

最後に、会社の代表として、社員たちを自慢したいと思います。自社の社員をほめるのもおかしな話ですが、本当にいい社員たちです。仕事に一生懸命。相手に喜んでいただくことを第一に考える。素直、真面目、気持ちがいい……そんな社員たちです。もちろん、選びに選んで、そういう人たちだけを採用しているわけではありません。入社当初は、「言い訳を考えることの天才なんじゃないか」と思えるような人間もいました。でも、先輩社員たちと一緒に仕事をしていくうちに、いつの間にか変わっていきます。特別な社員教育などを行っているわけではありません。先輩たちが仕事に誇りをもち、やりがいを感じ、自分に自信をもって働いている姿を見るうちに、自然とそうなるのかもしれません。「お客様に喜んでいただけると、自分もうれしいんだなということを、エムケーティエキスパートに来て初めて知りました。」と言ってくれた社員もいます。

私たちの会社は、お客様に代わって、「お客様のお客様」に接する機会が大変多くあります。エムケーティエキスパートとしてだけでなく、お客様の看板も背負って仕事をさせていただいています。それだけお客様から信頼をいただいているということだと思います。その信頼に応えることのできる社員たちが揃っていると自負しておりますが、それを可能としているのは、社員それぞれが、自分の仕事を楽しいと感じることができているからだと思います。

今でこそ「運ぶだけでなく、設置やセッティングまでトータルでお引き受けします」などと当たり前のように言っていますが、正直に言って、初めは何もできませんでした。たとえば情報通信機器のお仕事。言われたものを言われた場所に置いたら、あとは技術者さんが配線したり、調整したり、セットアップしたりするのをただ立って見ているだけでした。 「それは私たちの仕事じやありませんから」と言わんばかりに。

でも、あるときちょっとお手伝いしてみたら、とても喜んでいただけた。お客様に喜んでいただけると自分たちもうれしい。じゃあ、もうちょっとお手伝いしてみよう。精密機械だから万が一のことがないように勉強もしておこう……。それが積み重なってお客様から頼りにしていただけるようになり、たいへんおこがましい言い方ですが、「出入り業者」ではなく「一緒に仕事をする仲間」として扱っていただけるようになりました。「運ぶ」だけでなく「設置やセッティングまで」を経営者である私が戦略的に考えたのではなく、社員たちの気持ちが生み出した……。エムケーティエキスパートにとって、大きな自慢なのです。

これで本当に、おわかりいただけたでしょうか……？

小さな会社ですが、ちゃんと会議だってやります。お客様が他社に断られ、引き受けてくれるところがどこもないという案件が議題になることもあります。はじめのうちは「それは確かに難しい」「引き受けたところで利益は確保できるのか？」といったネガティブな意見も出ます。会議ですから、それも必要なことです。
でも、そういう意見ばかりを言っていると、かならず社員の誰かが口火を切ります。「ダメな理由、できない言い訳ばかり言っているじゃないか。それじゃあ、いつまでたっても前に進まないぞ！」その言葉を聞くたびに、この社員たちでよかった、この会社をやっていてよかったと、涙が出るほどうれしくなってしまいます。

「少々長めの自己紹介」というタイトルの割には、「かなり長い自己紹介」になってしまいました。しかも内容のほとんどは、 「お客様自慢」と「社員自慢」。これでは自己紹介ですらないのではないかと心配になります。でも、エムケーティエキスパートはどんな会社なのかを説明しようとしたら、こんな文章になってしまいました。 果たしてエムケーティエキスパー トのことを、ご理解いただけたでしょうか。もし「まだまだわからないよ」ということであれば、ぜひご連絡ください。「お客様自慢」と「社員自慢」に関しては、話したりないことがいくらでもあるのですから。